日本におけるデータセンター事業の展開課題と当社の取り組み

皆さま、おはようございます。今日は、日本でデータセンター(DC)事業を進めるうえでの課題をまず整理し、そのうえで当社が既に公表している事実に基づく取り組みをご報告します。

日本で直面する主な課題

1|ロケーションの確保
数MW〜数十MW級でも、面積・造成・自然災害リスク(洪水・土砂・液状化等)・許認可を一気通貫でクリアできる土地は多くありません。光幹線や電力系統への距離も重要で、初期の現地踏査と権利関係の整理が勝負どころとなります。

2|必要な電力の確保
必要電力の「容量」と「時期」を早期に確定し、特別高圧受電に再エネ・蓄電・非常電源のポートフォリオをどう重ねるかが鍵になります。計画段階からの電源設計がボトルネックになりがちです。

3|通信(遅延と冗長性)
地方立地では、基幹通信(バックホール)の品質と多重化設計が成否を分けます。海底ケーブル陸揚げ点・幹線への近さ、異経路による冗長、将来的な拡張性までを用地選定と並行で詰める必要があります。

4|GPUサーバーの調達
世界的な需給逼迫で最新世代GPUは長納期が常態化。筐体・電源・冷却・ラックまでを「システム」として短期間で導入・稼働させる発想が不可欠です。個別調達の寄せ集めはタイムロスに直結します。

当社の取り組み(公表済みの事実)

1|ロケーション(用地・立地優位性)
2024年9月20日、三重県伊賀市の約27万㎡の用地取得と事業計画を開示。低災害リスク、幹線光ファイバー近接、特別高圧への接続回答(最大受電20MW)など、地方DCに必要な前提条件を段階的に確保しています。

2024年9月24日の社長メッセージでも、伊賀DCの位置づけと収益計画を説明しています。

2|電源(太陽光・蓄電)
敷地内で段階的に太陽光を導入し、昼間負荷の一部をグリーン電力で賄い、蓄電池(BESS)で自家消費比率の最大化と需給平準化を図る基本設計(太陽光約30%+蓄電による夜間供給)を公表済みです。

3|通信・BCP要件を踏まえた設計思想
2024年9~11月のメッセージで、遅延要件やBCPに対応する地方DC設計の考え方を発信。海底ケーブル拠点への近さや多重化、補助制度の活用可能性までを含む全体設計を説明しています。

4|GPUサーバーの調達・実装検証
販売体制の整備:2025年2月18日、Ablecom社(液浸・直冷対応)等との国内販売代理店契約を開示し、短納期・プラグ&プレイの調達力を獲得。

  • 油液型液浸の共同試験:2025年8月28日、東北大学サイバーサイエンスセンターと、消費電力・冷却効率・騒音等の実運用指標の評価を共同で実施することを公表。液浸導入の有効性を客観指標で検証しています。
  • サービス提供基盤(GPU時間貸し等):2025年3月4日、GPU時間貸し/買い切り型クラウドストレージの共同事業会社(アマリロ株式会社)設立を開示。ハード(調達)とサービス(提供)の両輪を整備中です。

まとめ

日本のデータセンター事業は、電源・通信・調達の技術課題と、地域合意・環境配慮・人材育成などの社会課題が同時に到来する「二重の課題」です。当社は、土地電源(太陽光・蓄電)通信要件GPU(調達・実証)サービス提供基盤の順で、開示可能な事項を一つずつ積み上げてきました。今後も、適時適切な開示を通じて、着実に前へ進んでいることをお知らせしてまいります。
引き続き、何卒よろしくお願い申し上げます。

北浜キャピタルパートナーズ株式会社
代表取締役会長 前田 健晴